引越した際の車の手続き
今日は引越しに際しての車の手続きについてお話します。
我々行政書士の取り扱う業務は多岐にわたりますが、その中で最もポピュラーなのがこの車関係の業務。
特に名義変更や住所変更に伴う登録手続きと、車庫証明取得に関しての手続き、この二つは主だった業務と言えます。
車をお持ちの方が引越しされる場合はもちろんこういった手続きが必要となるわけです。
車庫証明は自分で取得できる
車を購入したことのある方はご存じだと思いますが、登録手続きや車庫証明取得などは、車屋さんが執り行なってくれます。細かい話を言うと、これは車屋さんが専属の行政書士に依頼するのであって、勝手に車屋さん自身がしてはいけません。
そうなるともちろん少なからず費用がかかってくるわけです。
しかし、こと車庫証明取得に関しては、慣れた方は自分でされますし、新車購入の際の登録手続きも頑張れば自分でできるんです。
そこで引越しの際に余計な費用をかけないためにも、可能であれば自分でやってみるのもいいかもしれません。
軽自動車といわゆる登録自動車の違い
車庫証明の手続きにおいて、軽自動車とその他の自動車(いわゆる登録自動車)では、実はその手続きにおいて大きな違いがあります。
実際に引っ越したときの手続きに即して、その違いを見てみましょう。
引越しをすると、車検証に記載される住所を書き換えないといけません。
そして、自動車を保管する場所が変わるわけですから、当然に車庫証明も新しい保管場所で取得するということになります。
それではまず登録自動車の場合の手順です。
引越し先の管轄の警察署にて、まずは車庫証明取得の申請を行います。あまり普段警察署に足を運ぶことは無いため、不安に思われる方がいるかもしれません。しかし車庫証明のための窓口がありますのでそこはご安心を。
ちなみにこの窓口は軽自動車の場合も同じです。
必要書類を提出し、申請が問題なく受理されれば、おおよそ一週間ほどで標章が交付されます。つまり警察署には申請時と標章受け取りで、最低2回足を運ばなければならないということです。無事に車庫証明を取得できたら、次は引越し先の管轄の陸運局にて、車検証の住所記載変更の手続きを行います。
この中の必要書類に、車庫証明の書類が入ってきますので、順番は①車庫証明取得→②住所記載変更 ということですね。
それに対し、軽自動車の場合。
引越し先の管轄の軽自動車検査協会にて、車検証の住所記載変更を行います。軽自動車の場合は手続き先は、陸運局ではなく軽自動車検査協会ですのでお間違えなく。無事車検証の住所記載が変更されれば、次に引越し先の管轄警察署において、車庫証明の届け出を行います。
順序は登録自動車の場合とは逆に、①住所記載変更→ ②車庫証明取得 というわけです。
軽自動車の車庫証明は必要か
よく耳にするのは、「軽自動車の場合は車庫証明を取らなくてもいい」という言葉です。
これは実際のところどうなんでしょうか。
実は引越し先の各市町村によって車庫証明の要不要が異なってくるのです。
おおよそですが、大きな都市部は必要な傾向にあります。必要な市町村においては、車庫証明を取らないと罰則もありますので、要注意です。
登録自動車の場合の「申請」とは異なり、軽自動車の場合はあくまで「届出」、つまり事後の手続きになりますので、警察署がなかなか実態を把握できないのではないかと一般に考えられています。
そのため、車庫証明を取らなくても大丈夫、と考えられる方もいるようですが、やはりそこはきっちりと取得しておくべきです。
手続きの際の注意点
引っ越した方ご自身が手続きされることもある、ということからもわかるとおり、手続き自体はそれほど煩雑なものではありません。手続きの仕方や必要書類などは、各手続き窓口のホームページにて確認できます。
あとはそれに沿って準備していけば問題なく手続きできるでしょう。わからない場合は直接電話での問い合わせにも応じてもらえます。
実際に我々行政書士に依頼される個人の方は、手続きが難しくてわからないからというより、平日に何回も手続きのために時間を取れないとの理由で依頼される方がほとんどです。
それでもやはり、ある程度注意しないといけない部分もあります。
以下、注意点を列挙していきます。ご自身で手続きされる場合の参考にしてください。
①管轄を確認
引越し先の住所を管轄する窓口をまずは確認しましょう。
手続きの方法、必要書類など、管轄する市町村によって違う場合もありますので、相談する際も必ず該当の管轄窓口にてお尋ねください。
②ナンバープレートが変わる場合
例えば神戸から大阪に引越しなど、ナンバープレートの表記が変わる場合です。大雑把に言ってしまいましたが、大阪府内でも、なにわ、大阪、和泉、堺がありますので、その表記が変わる場合も同じです。
この場合、ナンバープレートを変更する必要がありますので、まずはプレートを返納するという手続きが必要となってきます。
ここで注意しないといけないのが、返納したものの、手続きに不備があって登録ができなかった場合、その不備が手直しされて登録できるまで、ナンバープレートが無い状態になってしまうということ。
軽自動車の場合はおうちでプレートを外して、軽自動車検査協会へ持ち込めるので、万が一登録できなくてもさほど問題ではありません。が、登録自動車の場合は陸運局に車を持ち込み、プレートを変更後、封印を現地で施さないといけません。
ということは、もしプレートを返納後、登録手続きに不備があれば、プレートが無いまま陸運局に放置ということになりかねないのです。
ですので、ナンバープレート返納の際には、まず何より書類に不備が無いかなど、特に注意しましょう。
③管轄窓口の業務時間に注意
各窓口は当然ながら年中無休、24時間空いているわけではありません。
特に陸運局や軽自動車検査協会の場合、お昼休みの間も完全に窓口が閉じてしまいます。
先述のナンバープレート返納の注意の場合などにかぶりますが、もし業務時間ぎりぎりで申請、プレートが無いまま業務時間終了なんてことになれば、車を陸運局に置いたまま家に帰らないといけないはめになります。
こんなことにならないためにも、窓口の業務時間を確認した上で、
余裕をもって手続きを行いたいものです。
④保管場所の確保
その車を使う人の住所、これと車を保管する場所が直線で2キロ以上離れていてはいけません。自宅の駐車場であれば問題ありませんが、駐車場を借りる際などは、まずこの距離をしっかりと見て契約しましょう。
また、既にその駐車場に保管する車が登録されている場合は、代替という形で以前の登録を外す必要があります。その際は当然ですが、以前に登録されていた車はその車庫証明を失います。
専門家の必要性
先にも書いたとおり、少なからず費用がかかりますので、特に専門家が必要というわけではありません。
ただ、手続きには時間と日数がかかります。
引越しの作業や手続きに追われていてそこまで手がまわらない、また、仕事で平日にどうしても休みが取れない方は、専門家に依頼する必要があるかもしれません。
自分にとって必要な手続きは何かを見極めたうえで、どちらを選ぶかを考えるとよいでしょう。
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この記事のライターをご紹介
- 中野 浩明 ( ナカノ ヒロアキ ) 堺行政書士事務所
- 堺市を拠点に書類作成、申請手続き代行などの業務を行う街の法律家。業務に並行して遺言書の普及に努めている。
その一方で、長く油絵制作に携わっている経験をもとに、依頼を受けて似顔絵・肖像画の制作などに取り組む。