『深夜特急』沢木耕太郎(新潮文庫)
人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、記録を作るためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険大活劇でもなく、まるでなんの意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂なやつでなくてはしそうにないことをやりたかった。
冒頭に出てくる、およそ常識人からは嘲笑されてしまうような一文は、実は誰しもが密かに一度くらい持ったことがある感情でしょう。本書は1980年代に刊行されたベストセラーで、お父さんたちは結構知っていると思います。
予定を立てず、宿の予約も取らない気ままな旅…と聞けば羨ましい気もする旅の行程は、インドからヨーロッパまで途方もなく続くめちゃくちゃな旅で、おまけに金もない。
まさしくヒッピー旅行記は、著者の豊かな文章により、絶望的な状況(たいてい金が無くなる)も思わずニヤリとしてしまうほど小気味よく、一気に全巻読破できるほど。
暇はあるが金が無い、そして好奇心旺盛で若さのエネルギー溢れる私(当時)も、この偉大な旅人に憧れを抱いたものです。
果たして私は、いつまでも憧れを心の澱にしたまま大人になるのですが…。
皆さまもあの頃のエネルギーがまだ燻っているかもしれません。夏の夜長にぜひ一度。
興奮して眠れなくなったなら、是非あてのない旅へ。無事を祈ります。
yamada
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