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引越しコラム
連載 : 引越しても捨てられない本たち
皆さんはソニーにどんなイメージをお持ちですか?
この質問は年代によって大きく異なるでしょう。
おじいさんは戦後復興の先鋭として、
おとうさんは技術革新と憧れの代名詞として、
若者はメイドインジャパン凋落の手本として。
この本はソニーの創業者である井深大が、昭和37年から日本経済新聞に寄稿したものをまとめたものです。
そこには私たちの知らないソニーの苦悩や成功が綴られています。
よく比較されるアップルの創業者が、ソニーの影響を受けている、という話は聞いたことがあると思います。
独創的な発想力と商品開発力で、まぎれもなく成功を収めたソニーですが、それまでの道のりは失敗の連続で、さらに独創的すぎるがゆえ商品開発は困難を極め、幾度も倒産寸前の憂き目を経験します。苦労マトロンのくだりなどは、軽快に語られてはいるものの大変な困難だった事でしょう。
また、成功とともに巨大化する組織と理想のジレンマは、革新者のみが経験する(ことのできる)独特の悩みだと分かります。
豊かさを手に入れるほどに苦悩する、現代社会の縮図のようで、大変面白い一冊です。
ただ、妥協を許さない姿勢には今なお多くのファンがいることでしょう。
本書に記載されているソニーの設立趣意書に私の大好きな一文があります。
高い人格同士が、堅き共同精神を持って、思う存分、技術・能力を発揮できたなら、たとえその人員はわずかで、その施設は乏しくとも、その運営はいかに楽しきものであり、その成果はいかに大であるか。要約
10年後の世界を作るのは、インドのリーダーか、中国の道端で自作のスマホを売る少年か、ソニーか。それは誰にもわかりません。
ただ、井深と同じような、美しい精神と理想を持った人であってほしいものです。
井深の蒔いた種が次はどこから芽を出すか、未来にワクワクしながら、今を生きたいと思います。
私が世界を変える夢を見て。