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レビュー
連載 : 引越しても捨てられない本たち
今日の引越しても捨てられない本は、「アンネの日記」でございます。
子供のころ、ときどき母親が口にする彼女の名前に(私には歳上の姉がいます)なにやら淫靡な響きを感じ、図書館でこっそり読んだ思い出ぶかい名著。
言うまでもなく誰もが知る大ベストセラーです。
金も仕事もなく、退屈に明け暮れていた20代後半の私は、暇つぶしに本書を読み返し衝撃を受けました。
子供のころ感じた単なるロマンチックな悲劇のヒロインというイメージは吹っ飛び、文章の素晴らしさとともに彼女の精神年齢の高さに感動してしまったのです。
私は関連書籍をむさぼり読み、生活は活字一色へと大きく変わりました。
ユダヤ人に対する禁令の数々と収容所の恐怖に怯えながらも、ありふれた13歳の少女として性や家庭と葛藤する日々。
ジャーナリストとして「死んでからも生き続けたい」と願う彼女の夢は悲しい結末とともに実現されることとなりますが、彼女の思想に、彼女の短い生涯に、私を含め多くの人が生きている喜びを実感したでしょう。
私自身、長かった自堕落な生活を改めるきっかけとなり、たくさんの大切な事を教わった一冊です。
アンネの言葉をお借りして、
『どうかあなたのために、大きな心の支えと慰めになってくれますように。』
もう一度アンネの心に触れてみてはいかがでしょうか。