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引越しコラム
先日、京都府舞鶴市にある妻の実家に帰省する機会がありました。
2月末でしたので、雛人形が飾られていたのですが、「京雛」なのでお内裏さまとお雛さまの位置が一般的な雛人形(関東雛)と異なるのだと教えてもらいました。
私には男兄弟しかいなかったのであまり意識したことがなかったのですが、お内裏さまの位置が、京雛では向かって右、関東雛では向かって左になっているとのことです。
日本では古来より、左は右より格が高いとされ、お内裏さまはお雛さまの左、つまり向かって右に座ることになり、それを踏襲しているのが京雛だそうです。
この考え方に基づき、左大臣より右大臣の方が位は高くなるそうですが、これは天皇から見た左右なので、座る位置は左大臣が向かって右、右大臣が向かって左となるそうです。
同様の理由で、天皇が南を向くことから左京区は東側(地図の右側)、右京区は西側(地図の左側)となっています。
ちなみに、妻は進学や就職のために何度か「引越し」をしていますが、雛人形は持ち出されず、今でも実家に大切に保管されていたのでした。
さて、建築の分野でも雛人形のような地域差があるだろうかと考えてみたところ、和室の床を構成する「畳」が思い浮かびました。
畳は京間(関西間)、関東間、中京間、四国間、九州間など地域によって微妙に異なる寸法の規格が発展してきました。
現代において、住宅用のアルミサッシには特注寸法とは別に一般的に使われることが多い標準規格寸法なるものが用意されているのですが、上記の関東間、関西間、四国・九州間という違いに対応した寸法が設定されています。
このような寸法の違いは、建築方法の違いによって生まれたと言われています。
京間は、畳のサイズを一定にして、それに合わせて柱を立てる「畳割り」という考え方に基づくもので、畳のサイズは1910mm×955mm程度になります。
一方、関東間は柱の間隔を一定にする「柱割り」という考え方に基づくもので、畳のサイズは1760mm×880mm程度になります。
最近は、「柱割り」を採用することが一般的で、「畳割り」に基づいて設計されることはかなり珍しいケースかと思われます。
私も木造住宅を手がける場合はそのような考え方に基づいて設計をしておりまして、メーターモジュール(柱の間隔が1m)、尺モジュール(柱の間隔が910mm)、もしくはその中間を場合によって使い分けています。
さて、やや強引ですが、地域による畳の寸法の違いが「引越し」に及ぼす影響について考察して、まとめとしたいと思います。
最近では少なくなっているかと思われますが、かつては関西と関東で畳の寸法が異なりましたので、同じ帖数の部屋であっても大きさが異なりました。
関西から関東へ引越す場合は、同じ帖数の部屋を狭く感じたでしょうし、逆の場合は広く感じたことでしょう。
個人的には、「畳」に限らずこのような地域差が世の中から消えていく傾向にあることに少し寂しさを感じています。
経済的な合理性を考えますと規格化・標準化することが望ましいのかもしれませんが、そこからはみ出すものの魅力についても設計のなかで考えていきたいと思います。
今回はここまで。